1975 年 7 巻 3 号 p. 339-344
His東電位の記録に基づいて,22例の房室ブロック症例をブロックの部位と程度により分類し,その意義について検討した.
1度ブロックは8例で,うちA-Hブロック4例,H-Vブロック3例,A-H+H-Vブロック1例であった.3度ブロックは.14例で,うちA-Hブロック6例,BHブロック3例,H-Vブロック4例,His東電位を記録できなかったもの1例であった.房室ブロックをこのように分類することの臨床的意義について検討し,以下のような結果を得た.
(1)3度ブロックではQRS幅よりブロックの部位が推測できる.(2)ブロックの部位によりAdams-Stokes発作・心室自動性・薬物の効果には明らかな差はみられない.(3)心室頻数刺激後の心室リズムの抑制現象をみることは下位中枢の自動性の検討,予後判定に有用である.(4)ブロックの部位により人工ペースメーカの適応を考えるには問題がある.