9歳の女児で,病初期に特発性心筋炎を疑い,ステロイド使用中,腹部大動脈血栓症を併発した.5ヵ月間の保存療法後,開腹手術にて,白色の器質化した血栓を摘出した.その後,外来にて経過観察中,初診より2年1ヵ月を経過して,心不全により死亡した.
剖検にて,心臓は320gと大きく,右房,左房に器質化した血栓があった.左心室の組織にて,心筋はつよく肥大し,小血管周囲にも線維症あり,わずかな細胞浸潤と比較的若い線維細胞もみられた.
本例は岡田の特発性心筋疾患の心筋線維症型に相当し,そのうちの心筋炎後心肥大症の特徴をもっていた.