心臓
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臨床 短絡手術における補助循環の応用
鈴木 康之石沢 栄次田所 正路小泉 誠二伊藤 孝佐藤 清春加畑 治横山 温佐藤 尚荒木 純一堀内 藤吾
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1975 年 7 巻 4 号 p. 433-438

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抄録
乳幼児での緊急短絡手術では術中の循環虚脱のために目的を達せないことが少なくないことから,われわれは昭和48年2月以来,術中循環虚脱の予測される症例に人工心肺装置(roller pump,temptrol人工肺)をstand byする方針をとり,5例の短絡手術で補助循環を用いた.
生後28日から5歳までで,1例がFallot四徴, 4例が肺動脈弁閉鎖を主とする複雑心奇形であった.3例に左肺動脈の低形成ないし欠損,2例に無脾症,3例に大血管転位を認めた.2例にWaterston,3例にBlabck手術が行なわれた.流量50~150ml/kg.分.25~60分の補助循環でそれまで不安定であった血行動態が安定し,理想的な吻合が行なわれ,体外循環からの離脱は容易であった.吸引血液を回路外に出すことで溶血,術後出血量減少にみるべぎ効果があった.術後5日目に1例を失ない,総肺静脈還流異常の合併が剖検で確められた.残り4例は全て軽快退院し,本法の有用性が示された本法の適応,手技についても検討した.
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