心臓
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症例 左右心房解離,その他種々の不整脈を呈した1症例
川越 栄橋本 啓一早川 弘一木村 栄一
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1975 年 7 巻 5 号 p. 581-586

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抄録
52歳女性.18歳頃からまれに頻脈発作あり.1968年11月14日Adams-Stokes発作を生じ入院 入院時,心電図は完全房室ブロックを呈し心拍数毎分27であった.
Adams-Stokes発作に対しlsoproterenolを投与したところ,QRSのリズムと無関係な2種類の心房興奮を示す波の出現をみた.1つは第1誘導て上向きの小さな波で,その間隔はほぼ一定(0.60秒)し,洞性Pと推定した.他は同じ誘導で下向きの大きな波で,左房性興奮と考えられ,始め毎分300の頻拍(心房粗動もしくはatrial tachysystole)を呈したのち,不規則に散発した.その後,PATおよびPAT with blockを示したのち,洞リズム(そのさいの波形は著明な左軸偏位を伴う右脚ブロック)にもどり退院.約2カ月後,ふたたび完全房室ブロックによるAdams-Stokes発作を起こしたため,demand型pacemakerを装着したが,1969年6月12日急死した.
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