心臓
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症例 著明な心拡大を伴った特発性副甲状腺機能低下症の1例
桐山 利昭水谷 孝昭角水 圭一望月 茂和田 勝礒田 次雄川西 康夫
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1975 年 7 巻 9 号 p. 1087-1096

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抄録

特発性副甲状腺機能低下症(IdH)に著明な心拡大を合併した稀有な1例を報告した.
症例は28歳の主婦でテタニー発作で来院,著明な心拡大(心胸郭比71%),不整脈(wandering pacemakef,心房性期外収縮)心不全および低Ca血症,高燐血症,脳波異常を有し,左室造影,右室生検,UCG,副甲状腺機能検査などから,うっ血型の心筋症の病像を合併したIdHと診断した.
治療による低Ca血症の改善とともに,心胸郭比の減少,自覚症状の改善がみられたが,なお,うっ血型心肥大の病像は残存した.したがって,本例の心異常は一部“Hypocalcemic Heart Dlsease”の概念で説明できるが,本邦におけるIdH症例の報告中,心拡大を合併するものは本報が最初であり,この心異常を,IdHに伴う続発性心筋疾患として扱い得るかどうかは今後の課題である.

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