1975 年 7 巻 9 号 p. 1097-1103
正常洞調律時の心房性期外収縮が高度の心室内伝導障害を呈し,その後の経過でも,一過性および間歌性の高度の心室内伝導障害を呈した症例で非常に興味ある所見が得られた.
1)心房細動で間歇性の高度心室内伝導障害を呈した心電図で,先行QRSの後のある一定の短い時間内に出現したQRSは,より正常に近い心室内伝導を示し,その時間帯の前後に出現したQRSは高度の心室内伝導障害を呈した.
2)正常洞調律時にアトロピン負荷を施行した所,3分後にはほとんど高度心室内伝導障害を呈した.この薬剤負荷による高度心室内伝導障害を呈する洞調律時に心房性期外収縮の出現を見たが,この心房性期外収縮は,より正常に近い心室内伝導を呈した.
以上に述べた2つの所見は,心室内伝導系における過常期の存在を強く示唆するものである.