心臓
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臨床 老年者における心膜病変の臨床病理学的検討
賀来 俊大川 真一郎平岡 啓佑上田 慶二杉浦 昌也村上 元孝嶋田 裕之大津 正一
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1977 年 9 巻 1 号 p. 53-58

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抄録
老年者における心膜病変の特微を明らかにするため,東京都養育院付属病院における60歳以上の老年者連続剖検593例について検討した.心膜病変は45例(7.6%)に見られ,うち心膜炎は36例(6.1%),心タンポナーデは9例(1.5%)であった.心膜炎は線維性が最も多く28例,うち軽度17,中等度7,高度4例,また癌性心膜炎は4例,化膿性心膜炎は4例であった.中・軽度の線維性心膜炎の最も多い原因として長期の心膜液貯留による慢性刺激が示唆されたが,6例は原因不明であった.担癌患者は53%であり,肺癌の11.9%,食道癌の9.1%が心膜へ浸潤していた.心筋梗塞の21.4%が心破裂をきたしたが,男女差はなかった.臨床診断率は17.8%(8例)で,線維性3,癌性1,化膿性心膜炎2,心破裂2例であり,心膜腔内ガス像心房細動の出現心膜摩擦音,心エコー図,心プールスキャン,心膜窄刺などが手掛りとなった.
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