1977 年 9 巻 3 号 p. 212-221
血流抵抗は,しばしぼ電気回路におけるインピーダンスからの類推で.
Z=(圧力勾配)/(平均速度)=R+jwL
と表現され,Rは粘性抵抗に,Lは慣性抵抗に対応していると考えられていた.しかし,血流の粘性抵抗と慣性抵抗を流体力学的に求めた結果,Lは血液の見かけの質量と解釈されることが明らかになった.また,血流の粘性抵抗値としてRを用いるとき,大動脈血流(α>10)では誤差が20%以上にも達することを見出した.
一方,臨床的にも重要性の指適される血管壁ずり応力が,一般式で与えられることを示した.ここにRは血管半径,ΔPは距離l垂れた二点間の圧力差であり,Uは血流平均速度の瞬時値である.いずれもin vivoにおいて計測しうる量である.この式の誘導によって生体内血管壁ずり応力を測定する道が開けた.