心臓
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臨床 完全大血管転換症の管理
永沼 万寿喜松尾 準雄吉武 克宏常本 実太田 喜義島田 宗洋
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1977 年 9 巻 3 号 p. 222-231

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抄録

TGA(I)-46例(II)-28例,(III)-16例(IV)-1例の91例の自然歴,BASの効果,病型別および年齢別血行動態,肺血管病変,手術成績について検討した.最近では自然死亡は極めて少なくなった(5.4%).BASの効果はTGA(I)(II)でみると有効率75%であった.TGA(I)ではPp/Ps 0.75以上の肺高血圧を示すものは15.3%にすぎなかった.TGA(III)では1例を除いてすべて0,70以上の肺高血圧を示した.RPUはTGA(II)で加齢と共に上昇がみられた.肺血管病変はTGA(I)でPDA合併例は年齢にかかわらずH-EIII~IV度を示した.TGA(II)では6ヵ月をすぎると殆んどH・E III~IV度を示した.最近TGA(I)の手術死亡率は10%前後となった.TGA(II)でも最近8ヵ月の1例が生存した.本症は三尖弁狭窄,僧帽弁狭窄,三尖弁閉鎖不全,大動脈縮窄,大動脈弓遮断の合併があり,これらについて術前充分に熟知することの重要であることを述べた,また現在我々の行っている治療指針を表で示した.

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