【背景】
IBDの病態にはサイトカインの関与しているが、IBDと食物アレルギーの関連およびサイトカインプロファイルを検討した報告は少ない。クローン病患者の食物アレルギーの頻度及びサイトカインプロファイルを評価し、病態への関与を検討した。
【方法】
対象は、当院にクローン病で通院中の患者および健常対照者。17種の食物抗原を含むIgE MAST-36を評価し、クラス2以上を陽性とし、食物抗原のどれか一つ以上に陽性者を食物抗原感作群、検索した抗原のどれか一つに陽性者を抗原感作群とした。Chemokine Magnetic Bead Panel Immunoassayにより29種類の血清サイトカインを同時に測定した。
【結果】
対象はクローン病55例(平均年齢39.7歳、男性40例)および健常者39例(平均年齢41.5歳、男性23例)の計94例。クローン病群と健常者の2群間で食物抗原感作率 (24.1% vs. 17.9 %) に有意差を認めなかった。健常者と比較して、クローン病群でSTAT3活性化およびTh17細胞分化に関連するサイトカインがIL-6を含め有意に高値であったが、Th1サイトカインであるIL12p70およびIP10が有意に低値であった。健常者において、非感作群と比較して食物抗原感作群で、IL-6は有意に低値であったが、IBDにおいては、食物抗原感作群でIL1α(p=0.02), IL15 (p=0.03) が、抗原感作群でIL2値が有意に高値 (p=0.01) であった。病変活動性や重症度とアレルギーの有無およびサイトカイン値には関連性を認めなかった。小腸型は、大腸あるいは小腸・大腸型と比較してMCP-1が有意に高値であった。
【結論】
クローン病患者は健常者と比較して、Th17優位であったが、Th1サイトカインの過剰発現は認めなかった。アレルギーの有無によりサイトカインプロファイルは異なり、健常者ではTh17抑制、クローン病患者ではIL-2を介したSTAT5活性化が示唆され、アレルギーの有無がクローン病の病態に関与している可能性が示唆された。