【背景】
クローン病は感受性遺伝子と環境因子の関連により免疫系の破綻を来たして発症すると考えられており、近年は環境因子の中でも腸内細菌が注目されている。これまでの菌叢解析は主に糞便を用いており、主病巣である小腸を解析したものは少ない。我々はダブルバルーン内視鏡を用いて小腸サンプルを採取し細菌叢解析を行った。
【方法】
サンプルから酵素法を用いてDNAを抽出し、Illumina MiSeqを用いて16Sメタ解析を行い、統計学的解析を行った。サンプルから単離した菌を無菌マウスに投与し、Flow cytometryとqPCRを用いて腸管免疫細胞解析を行った。
【結果】
①部位による菌叢比較:小腸は固有の細菌叢クラスターを形成した。
②クローン病の有無による比較:小腸細菌叢はクローン病の有無により統計学的に有意な差が見られた。また、クローン病に有意に多い細菌や有意に少ない細菌が抽出された。
③クローン病関連かつ小腸優勢菌の代表として大腸菌が抽出されたため、クローン病の小腸サンプルより同菌を単離して無菌マウスに投与したところ、無菌マウス/SPF飼育下マウスと比較して、クローン病感受性遺伝子のTNFSF15とその受容体であるDR3の発現が増加し、腸管粘膜固有層においてTh1とTh17が有意に増加した。
【考察】
クローン病では小腸細菌叢に変化が見られ、その代表菌として大腸菌が抽出された。クローン病の小腸から単離した大腸菌はTNFSF15/DR3の発現と炎症性T細胞を誘導したことから、クローン病の発症に関連していることが示唆された。