【目的】
家族性大腸腺腫症(FAP)では大腸外病変として十二指腸を含む小腸にも腺腫を発症する。FAPの大腸腺腫に対する内視鏡的治療の有用性については報告があるが、十二指腸・小腸腺腫に対する内視鏡的治療に関する検証は少なく、有用性を明らかとするために検討を行った。
【方法】
2004年8月~2018年7月の期間で当部門においてダブルバルーン内視鏡(DBE)を用いてポリープ切除を複数回施行したFAP患者8例を対象とし、1)進行十二指腸・小腸癌の発生、2)内視鏡的治療の内容及び偶発症について後ろ向きに検討を行った。
【結果】
初回検査の平均年齢は31歳、観察期間中央値は77.5ヶ月だった。1)観察期間中に進行十二指腸・小腸癌の発生は認めず、1例十二指腸上行脚に腺腫内癌を認めたのみであった。2)72件のDBEを施行し、1237の腺腫が切除された。偶発症は後出血6件、急性膵炎4件であった。Cold snare polypectomyとcold biopsyのみの検査19件において、偶発症は急性膵炎1件のみであった。後出血に対しては内視鏡的クリップ止血、膵炎は絶食と点滴の保存的加療を行い、いずれも重篤なものはみられなかった。
【結語】
FAPの十二指腸・小腸腺腫に対するDBEを用いた内視鏡的切除は安全に施行できる。小さな腺腫であれば高周波凝固を避けることでより安全に効率的な切除を行うことができる可能性が示唆された。進行十二指腸・小腸癌の予防効果も期待されるが、より多数例での長期的な経過観察による検証が必要である。