日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第57回日本小腸学会学術集会
セッションID: S4-5
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主題セッション4 薬剤起因性小腸傷害の現況と対策
OGIB型(顕在性、潜在性)に内服薬が与える影響の検討
*三原 弘中山 優吏佳藤浪 斗高嶋 斗高嶋 祐介南條 宗八安田 一朗
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抄録

【背景と目的】 原因不明の消化管出血(OGIB)は、可視的出血の有無に基づき、顕在性と潜在性に大別される。カプセル内視鏡(CE)は、OGIBによる小腸病変の診断に有効で、75%が小腸出血とされるが、小腸精査がなされない場合もある。非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、低用量アスピリンおよび抗凝固薬は、上部消化管出血(UGIB)を増加させ、プロトンポンプ阻害薬(PPI)で予防しうるが、PPIは小腸出血のリスクを高める可能性が示唆される。本研究は、薬剤使用(抗血栓薬、NSAIDおよびPPI)とOGIB型(顕在性または潜在性)との関係を明らかにすることを目的とした。

【対象と方法】 2010年5月から2018年12月の間に、富山大学附属病院でCEが実施された外来および入院中のOGIB患者の抗血栓薬(抗血小板薬単剤・併用(DAPT)、ワルファリン、DOAC)、NSAIDおよびPPIの内服情報を後方視的に解析した。OGIB型の予測因子をFisher正確検定でオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)により算出した。

【結果】 190人の患者(男性113人、女性77人、平均年齢68歳)が選択基準を満たした。顕在性と有意に関連した因子は抗凝固薬と抗血小板薬の併用のみであった(OR = 8.17; 95% CI = 1.01―66.03; P = 0.0248)。一方、抗血栓薬単剤、DAPT、NSAIDおよびPPIは関連していなかった。

【結論】 抗凝固薬と抗血小板薬の併用が顕在性と関連していた。それ以外は、顕在性を増加させず、潜在性OGIBに対しても積極的な小腸評価が必要であると考えられた。

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© 2019 本論文著者
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