食品衛生学雑誌
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調査・資料
有機塩素系共力剤S-421の魚介類汚染
吉田 精作田口 修三田中 之雄堀 伸二郎
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2003 年 44 巻 3 号 p. 175-179

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抄録

家庭用殺虫剤スプレーやシロアリ防除剤に使用されている有機塩素系共力剤S-421の魚介類中濃度を調査した.S-421は魚介類からアセトン・ヘキサンで抽出し,シリカゲル40で精製後,ECD-GCで定量した.国産魚介類44検体からは,検出率 82%, 濃度範囲<0.2∼2.3 ng/g, 中央値0.5 ng/g, 平均値0.6 ng/gで検出された.15か国から輸入された魚介類43検体からは,検出率 63%, 濃度範囲<0.2∼1.0 ng/g, 中央値0.2 ng/g, 平均値0.2 ng/gで検出され,地球規模の汚染が進行していることが示唆された.魚介類中S-421濃度はHCHs濃度と同レベルで,DDTs濃度より1桁低かった.変異原性を有し,環境中で安定で蓄積性のあるS-421の汚染状況調査がさらに必要である.

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© 2003 公益社団法人 日本食品衛生学会
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