食品衛生学雑誌
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ICP-MSを用いたポリエチレンテレフタレート(PET)容器におけるアンチモン,ゲルマニウムの溶出試験法の検討
柿本 幸子池辺 克彦堀 伸二郎
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2004 年 45 巻 5 号 p. 264-269

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抄録
PET容器のアンチモン(Sb),ゲルマニウム(Ge)溶出試験法として,4% 酢酸溶液を直接試験溶液とし,ICP-MSで測定する方法を検討した.PET容器に Sb, Ge の 4% 酢酸標準溶液を添加し測定した結果,回収率,相対標準偏差も良好であった.4% 酢酸溶出液を直接試験溶液としてICP-MSに供しても,共存元素によって干渉作用を受けないことと,10回連続測定しても精度よく測定できることを確認した.本試験法では,長時間を要する灰化処理と煩雑な抽出操作を必要としないので,前処理時間を大幅に短縮することができた.公定法および本試験法で市販の10試料のPET容器の溶出試験を行った結果,同等の分析結果を得ることができた.したがって,本法は,簡便,迅速でかつ有害な有機溶媒である四塩化炭素を用いない安全な試験法で,PET容器から溶出される Sb, Ge を測定できる有用性が高い分析法であると考える.
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© 2004 公益社団法人 日本食品衛生学会
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