食品衛生学雑誌
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細菌添加培養処理によるカキなどからのノロウイルス検出率の向上
秋場 哲哉田中 達也新井 輝義林 志直森 功次野口 やよい永野 美由紀吉田 靖子矢野 一好
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2008 年 49 巻 6 号 p. 407-410

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抄録

食中毒関連検査において,食品からノロウイルス(NV)が検出される事例は非常に少ない.これは,食品成分由来の夾雑物の影響や,微量に含まれるNVを効率よく回収することが難しいためと考えられる.今回筆者らは,細菌(Klebsiella oxytoca)を利用して食品成分由来の夾雑物を分解,消化する前処理法を考案し,有用性の検証を試みた.NVを添加したカキ乳剤18検体,他の食品乳剤15検体を用いて,添加したNVをリアルタイムPCRによって検出し,その回収率を求めた.その結果,厚生労働省通知による処理法ではカキからの平均回収率はGI/8で0.3%, GII/13で0.5%, 他の食品はそれぞれ1.9%, 7.9%であったのに対し,細菌を用いた前処理を行った場合ではカキは8.6%, 11.6%, 他の食品では13.9%, 19.6%に上昇した.以上の検査結果から,細菌を利用した前処理法は食品からのNV検出のための有効な手法であると考えられた.

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© 2008 公益社団法人 日本食品衛生学会
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