食品衛生学雑誌
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ダンボール箱を介した農産物への残留農薬の移行
岩越 景子高野 伊知郎小林 麻紀大塚 健治田村 康宏富澤 早苗上條 恭子影山 百合子永山 敏廣
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2009 年 50 巻 5 号 p. 223-229

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抄録

農産物の流通過程において再利用されるダンボール箱に,農産物に残留した農薬の移行が認められた.このダンボール箱を介して農薬が他の農産物へ移行する可能性を調査するため,モデル実験を行った.かんきつ類の箱に野菜を入れた場合を想定し,こすり付けるなどの過酷な条件下,表面ふき取りによる測定で検討を加えたところ,検討した3農薬の平均値は,グレープフルーツで添加量の6.2%,みかんで 0.57% がほうれんそうに移行したと算出された.今回の結果は,最大に移行した場合に相当すると考えられ,実際の農薬移行量は,より低いと思われるが,農薬がダンボール箱を介して他の農産物に移行する可能性は否定できない.流通過程で非意図的に農薬の移染が起こることが示唆され,このような農薬移染を防止する対策が必要である.

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© 2009 公益社団法人 日本食品衛生学会
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