食品衛生学雑誌
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合成樹脂製器具・容器包装および玩具における過マンガン酸カリウム消費量および全有機炭素の検討
大野 浩之鈴木 昌子六鹿 元雄河村 葉子
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2009 年 50 巻 5 号 p. 230-236

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抄録

合成樹脂製器具・容器包装および乳幼児用玩具から溶出する有機物総量の指標として過マンガン酸カリウム消費量と全有機炭素(TOC)を検討した.定量限界はいずれも0.5 μg/mLであった.器具・容器包装97検体のうち,ポリ塩化ビニル(PVC)製急須口とナイロン製器具で過マンガン酸カリウム消費量およびTOCの値は0.5~10.9 μg/mLおよびND~18.9 μg/mLであった.また,玩具32検体のうち,PVC製玩具とエチレン・酢酸ビニル樹脂製ブロック玩具で0.8~45.5 μg/mLおよび0.5~8.9 μg/mLであった.一方,その他の試料ではいずれもほとんど検出されなかった.過マンガン酸カリウム消費量とTOCの値を比較すると,いくつかのPVC製品とナイロン製器具で両者は大きく食い違い,その原因は溶出する有機物の種類によって過マンガン酸カリウムの酸化分解率が大きく異なることによるものと推測された.

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© 2009 公益社団法人 日本食品衛生学会
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