食品衛生学雑誌
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トータルダイエット試料ならびに一食分試料の分析結果に基づくわが国におけるトランス脂肪摂取量の推定
渡邉 敬浩米谷 民雄松田 りえ子
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2011 年 52 巻 3 号 p. 167-177

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抄録

わが国におけるトランス脂肪の規制に関する施策決定の科学的根拠の1つとして,日本人のトランス脂肪摂取量を推定することは極めて重要である.そこで本研究では,事前に性能を明らかにした分析法を用い,マーケットバスケット方式により調製した複数群のトータルダイエット試料および一食分の食事として供される食品試料(one-serving試料)に含まれるトランス脂肪濃度を定量し,その結果に基づく摂取量を推定した.その結果,トータルダイエット試料の分析結果から推定される一日摂取量は,米国等で一食当たりの規制値として設定されている500 mgを大幅に超過することはないことが示唆された.またその一方で,一部のone-serving試料中のトランス脂肪濃度は他の試料に比較して高く,このような食事を偏って摂取した場合には,500 mgを超えるトランス脂肪が摂取されることが容易に予測された.

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© 2011 公益社団法人 日本食品衛生学会
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