食品衛生学雑誌
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香辛料ナツメッグのアフラトキシンB群およびB, G群汚染と汚染原因菌について
岡野 清志富田 常義大図 祐二高井 光宏小瀬 彩華小塚 暁子池田 奈緒子坂田 淳子久米田 裕子中村 信也一戸 正勝
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2012 年 53 巻 5 号 p. 211-216

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抄録
アフラトキシンB群(AF-B)に汚染した15試料とアフラトキシンB,G (AF-B,G) 両群により汚染した10試料の輸入インドネシア産ナツメッグについて,AF産生菌を分離し,そのAF産生能と分布を調べた.その結果,総AF汚染濃度が高い試料ではAF産生菌数 (CFU/g) が多く,低い試料ではAF産生菌数 (CFU/g) が少ない傾向があった(r=0.752).ただし,分離菌株のYES液体培地におけるAF産生性をTLCおよびポストカラムフォトケミカル反応によりHPLCで調べたところ,高濃度汚染の試料から分離された菌株が必ずしもAF産生能が高いとは限らなかった.AF-B,G群に汚染した3試料からAF-B,G群産生菌を分離した.これらの菌種は形態学的特徴,37℃と42℃における発育速度の相違,および遺伝学的解析に基づき,A. nomiusA. bombycisと同定された.農産物のAF-G汚染の原因菌としてはA. parasiticusが注目されてきたが,今回の結果から,輸入インドネシア産ナツメッグにおいてはA. nomiusとその近縁種であるA. bombycisがAF汚染の原因である可能性が示唆された.一方,AF-B群産生菌はすべてA. flavusと同定された.
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© 2012 公益社団法人 日本食品衛生学会
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