食品衛生学雑誌
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調査・資料
熊野灘産ムシフグTakifugu exascurusの毒性
辰野 竜平 梅枝 真人宮田 祐実出口 梨々子福田 翼古下 学井野 靖子吉川 廣幸髙橋 洋長島 裕二
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2021 年 62 巻 1 号 p. 28-32

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抄録

トラフグ属魚類の小型種であるムシフグは,毒性に関する情報が乏しく食用として認められていない.そこでムシフグの毒性を明らかにするため,熊野灘で漁獲した10個体(雄9個体,雌1個体)を試料とし,各個体の皮,筋肉,肝臓,生殖腺(卵巣もしくは精巣)をマウス試験とHPLC蛍光検出法に供した.各部位から試験液を調製し,前述の2つの方法により毒力とテトロドトキシン(TTX)濃度を算出した.マウス試験の結果,皮,肝臓,および卵巣で毒性が認められたが,精巣と筋肉は無毒(<10 MU/g)であった.一方,HPLC蛍光検出法で10個体中2個体の筋肉から1.4~1.5 MU/gのTTXが検出されたことから,ムシフグの食用可否を検討するため,引き続き毒性の調査を行う必要があると考えられた.

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© 2021 公益社団法人 日本食品衛生学会
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