食品衛生学雑誌
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妥当性評価
LC-MS/MSを用いたライムの残留農薬一斉分析法
八巻 ゆみこ 富澤 早苗増渕 珠子上條 恭子中島 崇行吉川 聡一長谷川 恵美小鍛 治好恵渡邊 趣衣橋本 常生大塚 健治
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2021 年 62 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

ライムのLC-MS/MSを用いた191成分の残留農薬を対象とした一斉分析法を開発し,妥当性評価を行った.試料から農薬をアセトニトリルで抽出し,無水硫酸マグネシウム,炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを加え塩析・脱水処理を行った.遠心分離を行い,上層を分取しアセトニトリルで定容した.続いて一定量をC18/GC/PSA固相カラムに負荷して精製を行い,LC-MS/MSにて測定した.従来の農産物対象の検査方法ではライムからの回収率が低かったチアベンダゾールについても回収率が向上した.厚生労働省の妥当性評価ガイドラインに従い2濃度で実施した妥当性評価では191成分中175成分がガイドラインの基準を満たした.また,都内で流通しているライム19試料についても実態調査を行い,18試料から残留農薬を検出した.本法はライムを対象とした残留農薬一斉分析に有用な分析法であると考えられる.

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© 2021 公益社団法人 日本食品衛生学会
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