食品衛生学雑誌
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清酒飲酒後の熟柿香に関する研究 (第1報)
吐息捕集装置の検討と清酒飲酒前と後における吐息成分の比較
小泉 武夫壺坂 正昭鈴木 明治
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1972 年 13 巻 4 号 p. 276-285

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抄録

1 清酒飲酒後の吐息成分を検索するにあたり, 成分の捕集装置を検討し, 吐息成分を凝縮法で得る装置を考案した.
2. その装置を使用し5名の被験者から清酒飲酒前と後の吐息成分を捕集し, 主にTLC分析, GC分析で構成成分を比較した.
3. その結果, 飲酒することにより吐息中には多くの化合物が存在することを見出し, アルコール類ではエチル, n-プロピル, イソブチル, イソアミルアルコールが, カルボニル化合物ではアセトアルデヒド, アルドール, アセトン, アセトイン, ジアセチルが, アミン類ではイソブチルアミン, エタノールアミンが, エステルでは酢酸エチルが検出された. 検出された成分は清酒中に常成分として存在するものの一部が, 分解をうけないで直接排出されたものと, 体内で代謝をうけ, 二次的に生成された化合物との両面から由来するものであることを推察した.
4. 検出された各化合物の定量値をもとに熟柿香よう溶液を調合してその不快性を対照者に試験したところ, いずれも清酒飲酒後特有の不快感に近似するものであった.

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