食品衛生学雑誌
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清酒保存料としてのラウリル系化合物の利用効果について (第2報)
ラウリル系アミノ酸
原 昌道大場 俊輝菅間 誠之助秋山 裕一村上 英也奥村 信二
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1972 年 13 巻 4 号 p. 326-332

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抄録

lauryl glycinate・PCA, lauryl glycinate hydro-chloride, lauryl DL-alaninate hydrochloride, laurylL-valinate・PCA, lauryl L-valinate hydrochloride, lauryl L-leucinate PCA, lauryl L-leucinate hydro-chloride, lauryl amino caprate・PCA, sodium N-cocoylL-arginine ethyl ester・PCA, N-lauroyl glutamateの計11種類のラウリル系アミノ酸の清酒に対する防腐作用を検討した.
1. 火落菌に対する抗菌力は塩酸塩, PCA塩の区別による差はほとんどないこと, L型のみならずDL型でも同様の効力が認められること, 炭素数の少ないglycine, alanineよりも炭素数の多いvaline, leucineの方が効力が強いこと, アミノ酸ラウリルエステルの方がN-lauroyl amino acidよりも効力が高いことが認められた. そして供試薬剤11種類のうちではlauryl L-valinatehydrochloride, lauryl L-leucinateの塩酸塩およびPCA塩, lauryl ε-amino caprateがもっとも抗菌力が強く5ppmの濃度で大部分の火落菌の増殖を阻止した.
2. もっとも抗菌力の強い4種の薬剤のうちではlauryl L-valinate hydrochlorideがもっとも清酒に対する溶解性がよく, 30ppmの添加で酒にまったく濁りを与えなかった.
3. lauryl L-valinate hydrochlorideは5ppmでsalicylic acid 250ppmと同程度の効力を示した. なおlauryl L-valinate DL-PCA塩の経口毒性はLD50 9.90g/kg体重であった.
4. 官能検査の結果からlauryl L-valinate hydro-chlorideは20ppmの添加で酒にまったく異味異臭を与えなかった.

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© 社団法人 日本食品衛生学会
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