ココアバター中のやし油およびパーム核油の塩析法による検出法について検討した.
ココアバターまたはブラックチョコレートの抽出脂肪5gをけん化してえられた石けん液を飽和食塩水で2回塩析してえられたろ液について, 非塩析性のカプロン, カプリルおよびカプリン酸の酸性条件下における析出による混濁を指標として観察・判定した.
ココアバター・乳脂肪混合物については乳脂肪含量を調整した対照試料を使用して混濁を比較した.
その結果, 乳脂肪を含まない場合には総脂肪中の5%以上のやし油または10%以上のパーム核油の存在を, ココアバター・乳脂肪混合物 (80: 20) の場合には10%以上のやし油またはパーム核油の存在を検出しうることを明らかにした.
市販ブラックチョコレート4試料, ミルクチョコレート5試料について試験した結果, 各試料ともやし油およびパーム核油を検出しなかった.