カツオ, スズキ, マダイの普通肉から抽出した筋原繊維タンパク質を0.6M塩化カリウム溶液に溶解した後, イオン強度0.2で上澄液 (サブアクトミオシン) と沈殿 (アクトミオシン) に分画し, 両画分中の水銀とセレン含有量を調べた. 3魚種とも, サブアクトミオシン中の水銀濃度はアクトミオシンのそれより高く, カツオは特にこの傾向が顕著で, 筋原繊維タンパク質中の水銀の約60%がサブアクトミオシンに存在した. セレンは筋原繊維タンパク質中にほぼ均一に分布した. 水銀とセレンの濃度比はカツオの場合, サブアクトミオシンにおいてアクトミオシンより非常に高く, マダイでは両タンパク質間の差が最も小さかった. カツオのサブアクトミオシンにおける両元素の濃度比はモル当りにして1:1をかなり超えていた.