食品衛生学雑誌
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大腸菌に対するカプリン酸モノグリセライドの作用部位
堤 将和尾山 勇一須田 郁夫渡辺 忠雄
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1982 年 23 巻 4 号 p. 308-313_1

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抄録
コハク酸脱水素酵素 (SDH) を指標酵素として, E. coli JE 1011 (JE) とその外膜変異株である NS-mutants (NS-3, NS-4) に対するカプリン酸モノグリセライド (MC10) の作用について検討した. in vivo の実験においてMC10はJEとNS-3のSDHを活性化したが, NS-4のSDHを阻害した. しかしMC10はこれらの菌から調製された膜画分SDH活性をいずれも阻害した. 又MC10を含む培地で培養された菌体あるいはMC10で前処理された菌体はいずれもSDH活性を増大した. 以上の結果から, 大腸菌に対するMC10の一次作用部位は菌の外膜であり, MC10によるSDH活性化は基質の外膜透過促進に基づくものと推定した.
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© 社団法人 日本食品衛生学会
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