1986 年 27 巻 5 号 p. 466-473
雄性 Slc: ウイスターラットに4-ジメチルアミノアゾベンゼン (DAB, 0.06%) とデヒドロ酢酸ナトリウム (DHA-Na, 0.10%) 及び両者 (DAB 0.06%+DHA-Na 0.10%) を含む添加固型飼料を生後5週以降長期間 (一生涯長期投与実験) に亘って投与し, DAB発ガンに及ぼす DHA-Na の併用効果を調べた. その結果, DHA-Na 群では検索した各項目及び自然発生腫瘍には, 対照群とほとんど差はみられなかった. DAB群と併用群のすべての動物は15及び16か月目までに死亡した. その死因は, 肝腫瘍に起因するものと判断された. またDAB群と併用群との間には生存期間でわずかに差がみられたが, これはDABの摂取量の違いによることが明らかとなった. 以上のことから, 長期間投与のこの実験条件では DHA-Na はDABの発ガン性に対し抑制的効果のないことが示唆された.