黄色ブドウ球菌食中毒の原因食品は糖質の含量が多い. そこで食中毒由来の黄色ブドウ球菌5株について, 種々の濃度にブドウ糖を加えた培地でのエンテロトキシンの産生量を検討した. その結果, ブドウ糖の添加によって毒素の産生量は低下し, ブドウ糖30%添加の場合と米粥培地における毒素の産生量は, ほぼ同程度であった. また30%ブドウ糖加培地における食中毒由来株10株のエンテロトキシンの最小産生量は13ng/mlであり, 環境由来の200株のうち47株は13ng/ml以上のエンテロトキシンを産生した. この47株のコアグラーゼ型 (コ型) は, 1株がコ IV型であり, 46株は食中毒由来株のコ型であるコ II, III, VI及びVII型のいずれかであった.