食品衛生学雑誌
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ムラサキイガイの殻長とむき身中残留PCB濃度の関係
ムラサキイガイを用いた環境汚染物質監視システムに関する研究 (第3報)
桑原 克義福島 成彦田中 凉一宮田 秀明樫本 隆
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1986 年 27 巻 5 号 p. 565-568_1

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抄録

魚介類に蓄積しやすい化合物の残留濃度に及ぼすムラサキイガイの成長の影響を調べた. 3cmから8cmまでの1cmごとの殻長の貝を採取し, むき身中の残留PCB濃度を測定したところ, 殻長3cmから8cmまでに対しPCB濃度は約1.7倍に上昇し, PCB濃度と殻長とは相関係数r=0.78, むき身重量とはr=0.77 (いずれも異常値1検体を除いた検体数N=34, P<0.001) で, 有意の順相関関係が認められた. 従って, PCBと同様生物への高い蓄積性のあるDDTやBHCなど有機塩素系化合物を分析対象とする場合には, 上述の結果を考慮する必要があるものと考えられた.

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© 社団法人 日本食品衛生学会
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