食品衛生学雑誌
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器具・容器包装から溶出したフェノールの試験に用いられるブロム法及び4-アミノアンチピリン法の比較
石綿 肇杉田 たき子義平 邦利
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1989 年 30 巻 4 号 p. 300-305_1

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抄録
ホルムアルデヒドを製造原料とする食品用合成樹脂製品から溶出したフェノールの試験に用いられるブロム法 (沈殿法) とゴム製品や合成樹脂塗装缶の溶出試験に用いられる4-アミノアンチピリン法 (比色法) について比較検討した. 沈殿法では沈殿の生成を肉眼観察により判定するため, 検出率の数値化を試みた. 検出率はシグモイド曲線状に高くなり, フェノール濃度25ppmで検出率100%となった. 混在が予想されるメラミンも, 10ppmでブロム法により沈殿を生じることが明らかにされた. 比色法における検量線は直線を示し, 100ppmまでのメラミン, 尿素, ホルムアルデヒドによって影響を受けず, 沈殿法より優ることが分かった. 両方法をフェノール樹脂製の試験片より調製した溶出液に応用したところ, フェノールの検出には比色法が優れていることが確認された.
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© 社団法人 日本食品衛生学会
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