1989 年 30 巻 6 号 p. 491-495_1
生あん原料にシアン配糖体含有豆類が利用されることがあるが, 公定法 (食品衛生法) では遊離シアンしか検出できない. しかし, 残留シアン配糖体の毒性は無視できないので, 配糖体を酵素分解し, 生成したシアン化水素を定量することが行われている. ところがその方法のための適切な酵素を入手するのが困難でありまた煩雑である. そこで, この配糖体 (主としてリナマリン) をアセトニトリル水溶液で抽出, イオン交換樹脂で定量妨害物質を除去した後, リナマリンの糖部分をトリメチルシリル化し, このTMS誘導体をガスクロマトグラフィーで分析する簡便で汎用性の高い方法を開発した.