食品衛生学雑誌
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30 巻, 6 号
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  • 勝部 泰次, 丸山 総一
    1989 年 30 巻 6 号 p. 479-490
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
  • 西山 修, 栗田 礼子, 梶本 實, 安井 陽子, 金田 吉男
    1989 年 30 巻 6 号 p. 491-495_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    生あん原料にシアン配糖体含有豆類が利用されることがあるが, 公定法 (食品衛生法) では遊離シアンしか検出できない. しかし, 残留シアン配糖体の毒性は無視できないので, 配糖体を酵素分解し, 生成したシアン化水素を定量することが行われている. ところがその方法のための適切な酵素を入手するのが困難でありまた煩雑である. そこで, この配糖体 (主としてリナマリン) をアセトニトリル水溶液で抽出, イオン交換樹脂で定量妨害物質を除去した後, リナマリンの糖部分をトリメチルシリル化し, このTMS誘導体をガスクロマトグラフィーで分析する簡便で汎用性の高い方法を開発した.
  • 大川 美子, 吉元 誠, 宮本 敬久, 波多野 昌二
    1989 年 30 巻 6 号 p. 496-500_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    3種類のアゾ系色素, アセランス (食用赤色2号), ポンソー3R及びサンセットイエローFCF (食用黄色5号) のC3Hマウス全胎仔由来C3H10T1/2clone8細胞の増殖に及ぼす影響を検討した. S9mix非共存下アゾ色素では, 5mMポンソー3Rにより前処理された細胞において弱い増殖阻害が認められた. 更に, S9mix非共存下アゾ色素を添加した培地で細胞を培養すると, ポンソー3R, アマランス, サンセットイエローFCFの順に強い増殖阻害を示した. S9mix共存下アゾ色素では, 0.3mMポンソー3R及びアマランスにより細胞を1時間前処理すると, 培養初期に, コントロールと比較して一時的な細胞数の増加が観察された. しかし, 同濃度のS9mix共存下ポンソー3R及びアマランスを終始添加した培地での培養は, 細胞増殖を強く阻害した.
  • 藤田 政之, 芳沢 宅実
    1989 年 30 巻 6 号 p. 501-505_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    サツマイモ塊根組織のディスクにT-2トキシン, デオキシニバレノール, ニバレノール, オクラトキシンAなどのマイコトキシンを塗布すると, 植物毒の一つであるフィトアレキシンが蓄積された. T-2トキシンは最も強いフィトアレキシン誘導活性を示し, 誘導にはサツマイモ塊根組織当たり約5ppmのT-2トキシンが必要であった. 約40ppmで最大に達し, 最大時におけるフィトアレキシンの蓄積は約400ppmであった. また, これらのマイコトキシンはサツマイモ塊根組織において, フィトアレキシンのエリシターとして働くと同時に, 極性の大きな物質に容易に代謝変換された. オクラトキシンAについては, 極性の低い物質も検出された.
  • グリシンと塩化ナトリウムの抗菌力併用効果 (第1報)
    竜口 和恵, 坂本 次郎, 李 在根, 堤 将和
    1989 年 30 巻 6 号 p. 506-511_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    グリシンとNaClの大腸菌に対する抗菌力併用効果について, 菌体表層の損傷の面から調べた. 抗菌力併用効果の発現には菌をNaCl含有培地で増殖させる必要があり, NaClは単に併用処理した時には, グリシンによる溶菌や菌体成分の漏出を抑制した. NaCl含有培地で増殖した菌をグリシンで処理すると, タンパク質, 260nm吸収物質の漏出の増大が顕著となり, 菌体表層の損傷が進行していることが示唆された. この菌を電顕で観察すると, 多くの菌体外小胞が観察されるなど膜構造の乱れが認あられた.
  • グリシンと塩化ナトリウムの抗菌力併用効果 (第2報)
    竜口 和恵, 坂本 次郎, 李 在根, 堤 将和
    1989 年 30 巻 6 号 p. 512-517_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    グリシンとNaClの大腸菌に対する抗菌力併用効果発現には, 菌体の膜構造変化が関係していることが推察されたので, 膜成分のタンパク質, リン脂質について分析した. その結果, 抗菌力併用効果が発現するNaCl含有培地増殖菌のグリシン処理でも, 膜タンパク質は全く変化しなかったが, リン脂質は, その分解を意味する遊離脂肪酸量が増え, 膜が崩壊の方向へ傾いていた. 逆に, グリシンの抗菌力を抑制するNaCl併用処理では, 菌体の環境適応の1つであるカルジオリピンが増加し, 膜のリン脂質組成の変化と抗菌力発現との関連が認められた.
  • 成田 弘子, 三輪 憲永, 赤羽 荘資, 増元 英人, 水野 秀二, 野口 玉雄, 志田 保夫, 橋本 周久
    1989 年 30 巻 6 号 p. 518-521_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    フグ毒テトロドトキシン (TTX) 保有生物の毒化機構を明らかにする目的で, 駿河湾内2か所より有毒ボウシュウボラを採取し, その消化管より細菌を分離し, 主な菌株のTTX産性能をHPLC, GC/MS分析などにより調べた. その結果, Vibrio, Pseudomonas, Acinetobacter, Citrobacter などに属するいくつかの菌株にTTX産性能が認められた.
  • 成田 弘子, 増元 英人, 水野 秀二, 野口 玉雄, 斉藤 俊郎, 志田 保夫, 橋本 周久
    1989 年 30 巻 6 号 p. 522-525_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    ボウシュウボラにつき部位別にテトロドトキシン (TTX) 毒性を調べた結果, 中腸腺の他, 卵巣もかなり有毒な個体が認められた. 次にボウシュウボラの両有毒組織及びオオナルトボラ, アラレガイ, トゲモミジガイから有毒成分を部分精製した上, HPLC分析を行った. ボウシュウボラ中腸腺の有毒成分はほとんどがTTXであるのに対し, 卵巣にはかなりの量の anhydro TTXや4-epi TTXも含まれていた. トゲモミジガイ, オオナルトボラ, アラレガイなどの有毒成分は, テトロドン酸と思われる成分をも含んでいた.
  • クロルデンのヒト汚染経路に関する研究 (第1報)
    田口 修三, 薬師寺 積, 小西 良昌, 西宗 高弘, 田中 凉一
    1989 年 30 巻 6 号 p. 526-533_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    クロルデンのヒト汚染経路を明らかにする目的で, 食品由来の摂取量調査を行った. 主婦6人の7日分計42日の食餌について, クロルデン6成分と他の有機塩素系化合物6成分計12化合物を分析した. その結果, 1日摂取量の中央値は, DDE (0.69μg), クロルデン6成分の総量 (0.50μg), PCB (0.48μg), HCB (0.19μg), DDT (0.17μg), heptachlor epoxide (0.11μg) 及び dieldrin (0.01μg) の順であった. これらの化合物と魚介類摂取量との関係を解析したところ, クロルデンはPCB, HCB, DDT化合物と同様に相関がみられ, 魚介類がクロルデン汚染の経路の1つであることが分かった. DDTの高濃度汚染が3例観察され, 食餌内容を調べたところサワラに由来していることが分かった.
  • 宮本 敬久, 許 雅瑛, 三輪 治文, 波多野 昌二
    1989 年 30 巻 6 号 p. 534-541_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    腸炎ビブリオの蛍光法による迅速検査法を開発した. 本法ではBSP-HP培地で増菌培養した後, 菌体内トリプシン様活性を蛍光基質ベンゾイル-L-アルギニン-7-アミノメチルクマリン (Bz-Arg-7AMC) を用いて高感度に測定することにより菌の検出を行う. BSP-HP培地での培養により腸炎ビブリオ Vibrio alginolyticus, V. harveyi 以外の細菌の増殖あるいはトリプシン様活性を抑制できた. 腸炎ビブリオでは菌数と活性の関係は菌株によらずほぼ一定であったが, V. alginolyticus では菌株により大きく異なった. 活性測定の際, 食品由来の酵素による妨害が認められたが, 反応液への1mM EDTAの添加により食品由来の酵素のみを阻害できた. 本法で魚介類から400個/g以上の腸炎ビブリオを8時間と短時間で検出でき, 従来法との相関もr=0.97と高かった.
  • 大石 義也, 小田 隆弘
    1989 年 30 巻 6 号 p. 542-547_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    市販鶏卵から検出されるナイカルバジンの残留の原因を明らかにするため, ひなを生後第1週から産卵開始時まで飼育し, 産卵鶏の飼育実験を行った. 初生のひなにナイカルバジン125ppm含有飼料を70及び100日間与えた両群に, その後標準飼料を与えると産卵開始の卵からナイカルバジンは検出されなかった. 同様に0.45~1.1ppmの微量含有飼料を常時与えて育成すると産卵開始の卵に平均0.25ppm検出された. また, 産卵中の鶏に1.0ppmの微量含有飼料を10日間与えると比較的高濃度のナイカルバジンが検出された. 一方, 本来含有されていないはずの市販配合飼料から高率で微量のナイカルバジンが検出された. 以上から, 市販鶏卵中に検出されたナイカルバジンは, 給与飼料中に微量混入されていたナイカルバジンに原因すると推論した.
  • 岩間 昌彦, 戸嶋 禎一, 飯樋 洋二, 高橋 信江, 菅家 祐輔
    1989 年 30 巻 6 号 p. 548-551_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    カプサイシン (CAP) をラットに14日間経口投与して肝臓の薬物代謝活性に対する影響を調べた. CAPを体重kg当り50, 100, 500mg経口投与した結果, 500mg/kgにのみ体重増加の抑制が認められた. in vivo の mixed function oxidase 活性の指標とされるペントバルビタール (50mg/kg, i. p.) による睡眠時間がCAP (50mg/kg) により有意に (P<0.01) 延長された. しかし, MFO活性にかかわるチトクロムP-450量, アニリンヒドロキシラーゼ, アミノピリンデメチラーゼ活性には有意な変化をもたらさなかった. 一方, 薬物代謝の第二段階酵素のグルタチオンS-トランスフェラーゼ, UDP-グルクロニルトランスフェラーゼ活性はCAPにより有意に (P<0.05) 低下した.
  • 最上 和江, 塩見 一雄, 山中 英明, 菊池 武昭
    1989 年 30 巻 6 号 p. 552-555_1
    発行日: 1989/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    練製品原料魚として重要なタラ類8種とサメ類4種の筋肉中の微量金属含量をICP発光法または原子吸光法により分析したところ, 他の食品に比べてヒ素 (As), 水銀 (Hg) 及びカドミウム (Cd) など有害金属含量の高いことが認められた. 一方, タラ類3種及びヨシキリザメ筋肉の水晒後の分析結果ではAs及びCdは減少しHgは残存する傾向を示した. また, 市販練製品のうち原料魚にサメを用いた製品ではHgの残存量が顕著であった.
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