食品衛生学雑誌
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くん液のラットにおける急性毒性について
清水 充中間 昭彦野田 勉山野 哲夫藤田 忠雄黒田 孝一森田 茂
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1990 年 31 巻 3 号 p. 255-260

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抄録

天然食品添加物で着香料として用いられているくん液5試料及びくん液様着香料2試料についてラットにおける急性経口毒性, とくに胃, 肝及び腎に対する作用を調べ, 以下の結果を得た.
1) 試料5.0g/kg投与後14日間観察を行った急性毒性試験において, いずれの試料も死亡例はみられなかったが, 2種の試料では体重増加の抑制がみられた.
2) 試料投与24時間後の検査においては, 4種の試料で胃及び小腸粘膜の浮腫, 出血, 充血ないしはうっ血がみられた. とくに2種の試料では上記の変化が著明であり, 胃及び肝相対重量の著しい増加がみられた. しかし, 血清GPT及びALP活性の上昇はみられなかった. これらの作用は試料の総酸度とほぼ等しい10%酢酸の作用と同程度かあるいはやや強かった.
3) くん液投与によって胃粘膜刺激性作用がみられた. とくに2種の試料は強い胃粘膜刺激性を引き起こし, その作用はそれら試料の総酸度とほぼ等しい10%酢酸の作用より強かった. その他の試料では, それらの総酸度とほぼ等しい酢酸の刺激作用とほとんど差異がなかった.

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