1993 年 34 巻 5 号 p. 426-433_1
食品中のナレド及びその還元型 (脱臭素) 変化体であるジクロルボス (DDVP) の同時定量法を開発した. アセトンによる抽出を行い, 塩化アンモニウムとリン酸水溶液による凝固法でクリーンアップし, 酢酸エチルで抽出した後, FPD-GCによる定量を行った. りんご, キャベッ, だいこん, きゅうり, かぼちゃ, トマト, 玄米, 緑茶について0.2~0.4ppm添加して添加回収実験を行った. ナレドは直ちに一部がDDVPに変化するため, DDVP量に1.72を乗じてナレド量に換算したものを加えてナレドの回収率を求めた. DDVPの回収率は52.6~97.0%, ナレドの回収率は28.2~83.6%であり, ナレドの回収率はDDVPに変化する割合が高いほど低かった. なお, 市販の上記8種農産物からはいずれの農薬も検出されなかった.