食品衛生学雑誌
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塩化ビニルフィルムの毒性に関する検討
木下 洋一村岡 賢介
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1963 年 4 巻 2 号 p. 78-85

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抄録

塩化ビニル (以下VCPと略す) フィルムの毒性に関して, フィルムを各種溶媒に浸漬した場合の配合安定剤中の金属の抽出性を求めた. また, 安定剤自体の毒性について動物実験より急性毒性試験によるLD50の値を求め, 両者の関係をB.P.Eの方法で整理し, 各種フイルムの安全限界を試算してみた. これらの結果では, 水, 6%塩酸, 50%エタノール, 3%乳酸, 大豆油, 3%酢酸, 3%食塩にPVCフィルムを浸漬した場合の配合安定剤の抽出性は, Ca-Zn-有機化合物系< ステアリン酸鉛< Cd-Ba-有機化合物系< ジブチルスズラウレート系< ジブチルスズマレート系の順位となり, また各安の許容抽出金属量を試算した結果, Cd-Ba有機化合物定剤別系では4mg/mm2以下, ステアリン酸鉛系では5mg/mm2以下, ジブチルスズラウレート系では188mg/mm2以下, ジブチルスズマレート系では194mg/mm2以下, Ca-Zn-有機化合物系では500mg/mm2以下であることが衛生的見地よりの安全範囲であることがわかった.

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