抄録
鼻腔内異物を疑われた小児の鼻腔内逆生歯 2 例を経験したので報告する.
症例 1 は 6 歳の男児。鼻閉を主訴に近医耳鼻咽喉科を受診した。右総鼻道に白色塊を認め,異物を疑われ摘出を試みられるも困難であった為,同日,当科紹介となった。全身麻酔下に摘出術を行った。白色塊は鼻腔底より肉芽組織を伴って突出しており,鉗子を用いて容易に摘出できた。歯根を伴った歯牙であった。
症例 2 は 8 歳の男児。急性中耳炎にて近医耳鼻咽喉科を受診した際,左鼻腔内の白色塊を指摘された。鼻腔内異物を疑われ摘出を試みられるも困難であった為,当科紹介された。左総鼻道に固い白色塊を認め,先端は下鼻甲介に刺入していた。全身麻酔下に摘出術を行った。鉗子を用いて容易に摘出できた。犬歯状の歯根を伴った歯牙であった。
2 例とも萌出歯は過剰歯であった。小児の場合,鼻腔内逆生歯は鼻腔内異物を疑われる可能性があり,念頭に入れるべき疾患であると考えられた。