抄録
舌根部囊胞は新生児期や乳児期に重篤な呼吸障害を来すことがあり早期の診断・治療が必要である。今回,平成 9 年以降に当科で診断され手術が施行された舌根部囊胞15例の臨床的検討を行った。喘鳴を主訴に発症することが最も多く,半数以上の 9 例が 1 歳未満での発症で,この 9 例の主訴は喘鳴であった。性別では男児にやや多くみられた。治療は全例に喉頭直達鏡下囊胞開窓術が施行された。4 例が再発し再手術を要したが,その後の再発はみられていない。病理組織所見は全例が甲状舌管囊胞であった。呼吸障害を認める症例において,舌根部囊胞も念頭におく必要があると思われた。また治療として喉頭直達鏡下囊胞開窓術は有効と考えられた。