肺炎球菌ワクチン,新規抗菌薬,ガイドラインの普及により,小児の急性中耳炎(AOM)の難治症例は減少している。治療に難渋する場合は,その原因を究明する必要がある。免疫不全や原発性線毛機能不全などの合併が疑われる場合は小児科との連携による治療が必要である。MRSA感染による耳漏が持続する例では,耳洗浄の反復等の局所処置が中心となるが,症例によっては抗菌薬投与も検討する。AOMの合併症の1つである急性乳様突起炎は,13価肺炎球菌ワクチンの普及により減少したと報告されているが,ワクチン非含有株による感染例もある。薬剤耐性対策により抗菌薬投与が極端に控えられた場合にはAOMから急性乳様突起炎へ至る例の増加も懸念される。
外耳道が狭い,処置中じっとできない,保護者の都合による通院の中断なども治療に難渋する要因となり得るため,小児中耳炎の治療では患児および保護者への適切な対応も重要である。