2018 年 39 巻 3 号 p. 297-302
小児のめまいは成人と比べて少なく,患者から情報を得ることが難しいため診断に苦慮することが多い。地域支援病院耳鼻咽喉科における小児めまいを臨床的に検討した。小児は幼児(1歳から5歳)と児童(6歳から15歳)に分類し,両群の疾患の違いについても考察した。小児では起立性調節障害,前庭神経炎,良性発作性めまい症,片頭痛関連めまいが多く見られた。幼児で多かったのは前庭神経炎で,その他先天性眼振,解離性運動障害,中枢性障害の小脳腫瘍,頭部外傷後めまいであった。児童期になると,メニエール病や,片頭痛関連めまいなど成人と同様のめまいが増えてくるが,起立性調節障害の頻度も多かった。
小児のめまいとくに児童では,めまい発作に対する不安感が不登校の原因となる場合がある。また,前庭障害や片頭痛に心因が加わって発症する例もある。診療にあたっては,精神医学的,心身医学的アプローチを念頭に置く必要がある。