2018 年 39 巻 3 号 p. 320-326
当科では口唇口蓋裂児の鼻咽腔閉鎖不全が疑われる症例に対し,鼻咽腔閉鎖機能検査を行っている。口蓋の視診,鼻咽腔ファイバー検査,空気力学的検査,顔面側面X線撮影を基本機能検査項目とし,補完的にナゾメーター検査を行ってきた。ナゾメーター検査は,nasalance scoreを用いて鼻咽腔閉鎖機能を評価するが,口唇口蓋裂児における有用な評価法はまだ確立されていない。本研究では,口唇口蓋裂児の鼻咽腔閉鎖機能の評価におけるナゾメーター検査の有用性を明確にすることを目的とし,ナゾメーター検査を行った64例について,その結果の検討を行った。従来行ってきた基本機能検査結果と,検査音「シ」でのナゾメーターの検査結果が有意差をもって相関することが分かった。検査音「シ」を用いて,nasalance scoreの評価基準値50%未満とすることが,鼻咽腔閉鎖不全の評価の指標となることが示唆された。