2018 年 39 巻 3 号 p. 358-363
これまでに報告の少ない急性上咽頭炎を合併したマイコプラズマ肺炎の1症例を経験した。症例は11歳女児。発熱,咽頭痛,頭痛を主訴に受診。内視鏡検査で咽頭扁桃に膿を認めた。白血球数5300/μL,CRP 2.34 mg/dL,A群溶連菌迅速診断陰性で,ウイルス感染として経過をみた。2日後乾性咳嗽が増悪し再診。胸部X線で雲状陰影を認め,咽頭よりマイコプラズマ迅速診断を施行したところ陽性。マイコプラズマ肺炎を疑い,clarithromycinを投与し治癒した。咽頭扁桃より肺炎マイコプラズマが分離され,ペア血清で抗体価の有意の上昇がみられマイコプラズマ感染症と診断した。マイコプラズマ肺炎の初期症状として急性上咽頭炎による頭痛を主訴とする場合があり注意を要する。