2019 年 40 巻 3 号 p. 264-270
2012年から2013年の風疹流行に伴い出生した先天性風疹症候群(CRS)4例に対する経過と言語・コミュニケーション指導について報告する。4例は重度難聴や進行性難聴の他に,白内障,先天性心疾患,発達の遅れなど多様な症状を呈していた。聴力評価では,進行性難聴の可能性があることや視覚障害との重複障害や全般発達の遅れなど複数の問題がみられ,聴力の確定には時間を要した。他覚的検査を交えながら聴力検査を継続することと,重複した問題に応じたコミュニケーション手段や補聴手段の検討が大切である。本症例では,様々な疾患の重複や発達の遅れを認めたが,各症例に合わせた指導を行うことで緩徐に発達を認めている。就学を見据えて継続した支援が必要であり,近隣の療育機関へスムーズに移行ができるよう,感染対策を含めたCRS児に対する理解と支援が重要である。