小児耳鼻咽喉科
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臨床セミナー
ワクチンを考える:Hibワクチン,肺炎球菌ワクチン,百日咳ワクチンの効果と課題
菅 秀
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2020 年 41 巻 3 号 p. 259-263

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抄録

細菌性髄膜炎,敗血症などの侵襲性細菌感染症は,小児における最も重篤な感染症の一つである。主要起因菌はインフルエンザ菌type bおよび肺炎球菌である。日本でもワクチン導入後,これらの細菌による侵襲性感染症は激減した。しかしながら,ワクチン非含有血清型の肺炎球菌による罹患率増加(血清型置換)が起こった。今後も病原体解析と全数サーベイランスを継続することが非常に重要である。血清型置換に対応可能な次世代型ワクチンの開発も待望される。

ワクチン予防可能疾患の中で,国内外でまだ十分に制圧できていない疾患の一つが百日咳である。無細胞百日咳ワクチンにより患者数は大きく減少したが,近年では学童期以降の患者割合が増加し,依然として乳児重症例死亡例も報告されており,その対策は喫緊の課題である。学童期以降の追加接種,乳児に密接に接触する可能性のある成人,特に妊婦に対するワクチン接種を進めるべきである。

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© 2020 日本小児耳鼻咽喉科学会
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