2022 年 43 巻 1 号 p. 39-41
耳鼻咽喉科医として,気管切開の適応の判断,安全な気管切開手技,合併症対策を含めた術後管理が問題となっているが,その後の管理においては,「医療的ケア児支援法」にも挙げられているように,医療的ケア児と保護者の意思を最大限に尊重し,居住地域にかかわらず適切な支援が届けられることが望まれる。
学校には看護師の配置が進んでいるが十分ではなく,吸引やカニューレ事故抜去時の対応のために保護者の付き添いが求められることが多い。学校選択においては,気管切開があることにより通学バスに乗車できず保護者の送迎が必要となったり,医療的ケアを実施できないという理由で本来その子が必要とする最適な教育を受けられる学校に通学できないという問題もある。上気道狭窄のための気管切開例など成長や原疾患の改善により気管切開が必要となくなる可能性のある症例に対して,閉鎖時期や閉鎖方針についても今後は検討が必要と考えられる。