健診などにおいて,難聴児や言語発達障害児が自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動症(ADHD)とされ,必要な介入が遅れることがある.これらが併発していることはあり得るが,特に未就学児においては,難聴と言語発達遅滞を厳格に発達障害から分離する必要はなく,どのような介入が必要かを判断することが重要である.本稿ではこの考えに基づいて,聴覚過敏を訴えたADHD例,ASDと鑑別することが難しかった語音症例,学年が進むにつれ知能指数が低下した言語発達障害例について紹介し,言語病理学的な視点から考察を加えた.最後になぜ難聴児がASD児と誤認されるのかについて,間主観性の成立に関わる脳内システムを中心に考察した.