室内環境
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原著論文
二酸化マンガンを用いたホルマリン燻蒸後の残留ホルムアルデヒドガスの酸化分解に関する研究
小座野 貴弘関根 嘉香
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 16 巻 2 号 p. 69-77

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抄録
ホルムアルデヒドは,動物実験施設や製薬施設において滅菌剤として広く利用されている。ホルマリン燻蒸後の室内空気中のホルムアルデヒド濃度は,数百~数千ppmの高濃度状態になる。したがって,燻蒸後のホルムアルデヒドガスを含む室内空気は,大気中へ放出する前に排出基準を満たすように下げる必要がある。本研究は,燻蒸後の残留高濃度ホルムアルデヒドガスを除去するために,二酸化マンガンを主要成分として添加したハニカムエアフィルターを組み込んだ新しい空気清浄装置を開発することを目標としている。実験は,試作した装置を用いて実大規模の高気密チャンバー(23 m3)においてホルマリン燻蒸を模擬して行った。その結果,装置は,チャンバー内で500~3,000 ppmの高濃度で発生させたホルムアルデヒドガスを室温で分解除去し,除去されたホルムアルデヒドの物質量と化学量論的に等しい物質量の二酸化炭素が生成することを確認した。燻蒸後のホルムアルデヒド濃度は,処理装置の稼働に伴い速やかに減衰し,その減衰速度は初期の気化濃度に依存的であるが,稼働開始8時間後には大気への排出基準レベルまで減少した。この結果,試作した装置は,ホルマリン燻蒸後の残留ホルムアルデヒドガス対策として利用できる可能性が見いだされた。
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© 2013 一般社団法人 室内環境学会
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