抄録
上越市立の全小学校(新潟県)児童を対象に,化学物質過敏症(multiple chemical sensitivity: MCS)様症状に関するアンケート調査が2005年7月に実施されている。今回,その調査から5年経過した2010年7月,実態の時間的推移を把握するため,対象を市立の全小中学校の児童・生徒に拡げてアンケートの再調査を実施した。また今回新たに就寝時刻についても合わせて調査した。アンケートの有効回答数は14,024名分(有効回答率84.0%)であった。
調査の結果,14,024名の回答児童・生徒中MCS様症状を示す児童・生徒は1,734名(12.4%)であった。今回の調査で主に,次の3つのことが明らかとなった。
1. 小学1年生から中学3年生へ学年が進むに伴い,MCS様症状を示す児童・生徒の割合が増加傾向にあった。
2. 小学生全体のMCS様症状を示す児童の割合は,今回調査した小学生の方が5年前に比べて大きくなっていた。
3. 小学3年生から中学3年生までのMCS様症状を示す児童・生徒はMCS様症状を示していない児童・生徒より就寝時刻が遅かったことが明らかとなった。