抄録
生活環境における環境たばこ煙(Environmental Tobacco Smoke, ETS)に対する曝露実態については定量的な知見が不足しており,受動喫煙防止対策の社会的合意形成を図る上で課題となっている。本研究ではETSの「におい」に着目し,ETS曝露イベントをリアルタイムで検出するための高感度かつ携帯が容易なモニター法の開発を目的としている。そこで,喫煙者が居住する集合住宅の1室において,既存のポータブル型半導体式モニター3機種のETSに対する応答特性を調べた。その結果,用いたモニターは1機種を除き,室内空気中のETSの経時変化を検知でき,SPM値のように室内空気の撹拌状態の影響は受けにくいことがわかった。ただし,香水や制汗剤など日用品の使用に伴って発生するガスにも非選択的に応答した。したがって半導体式モニター単独ではETS曝露イベントの同定は難しいと判断された。しかしながら,応答特性の異なるセンサーやデジタル粉じん計との組み合わせにより,ETS由来・非ETS由来の応答を判別できる可能性はある。