2019 年 43 巻 2 号 p. 124-133
本稿は,手部欠損者の欠損指の運動機能を補綴し,残存指の運動機能を活用可能な手部筋電義手の設計手法を提案している.手部筋電義手の設計における課題は機械系と制御系に存在する.機械系設計の課題にはデジタルエンジニアリングの考え方に基づき被験者の手部の 3Dデータから断端形状に適合するソケットと手の外観を損なわずに電動部品を収納できる把持機構を設計し,残存指を活用可能な手先具を実現した.制御系設計の課題には,ニューラルネットワークによって,計測した筋電から手部の把持操作に必要となる離断部位の筋電を分離し,電動ハンドの制御に応用することに成功した.また,被験者を対象に手部筋電義手を試作した.試作した手部筋電義手の把持・操り動作について,ピックアンドプレース実験を実施し,手部筋電義手の有効性を確認した.